~加藤浩子のスロヴェニア マリボール国立歌劇場レポ その4~ 世界最高の「アイーダ歌い」2人の贅沢な共演〜マリア・グレギーナ&フィオレンツァ・チェドリンスの魅力

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指揮も演出も高水準の、マリボール歌劇場《アイーダ》。若手歌手も期待できるとご報告したのは第1回のメルマガに書いた通りだが、人気、実力を兼ね備えたスター歌手が聴きたいというのも、オペラファンの本音だろう。今回のメインキャストであるマリア・グレギーナとフィオレンツァ・チェドリンスは、いずれもアイーダ役で世界の一流歌劇場に招聘されている世界最高の「アイーダ歌い」だ。

ロシアが誇るドラマティック・ソプラノ、マリア・グレギーナは、新国立劇場の記念すべき開場公演《アイーダ》でもタイトルロールを歌った「アイーダ歌い」。パワフルで豊潤な声とダイナミックな表現力に、最近は人間的な深みも感じさせる円熟の歌手だ。「音楽だけでなく、人生を描いた天才」ヴェルディの音楽は、「歌うたびに発見がある」とやりがいを強調する。アイーダという女性に「心の底から共感する」というグレギーナ、持ち前のパワーで情熱的な演唱を繰り広げてくれるだろう。

一方のフィオレンツァ・チェドリンスは、「天使の声」(指揮者のローザの言葉)を持つと称される、リリカルで澄んだ、女性らしい情感をたたえた声の持ち主。とはいえ強靭さも十分、舞台姿も凛として美しい。「イタリア人として、この美しく、複雑な作曲家の作品に出演できることを誇りに思う」というチェドリンス、「アイーダという役に全身全霊で入り込む」と意気込む真摯な性格そのままに、渾身の歌唱を聴かせてくれるはずだ。

「日本のオペラファン」の大ファンでもあるという2人のプリマ。声のタイプも対照的な、歌い盛りの2人の《アイーダ》は、この秋、絶対に聴き逃したくない公演である!