エディタ・グルベローヴァ 日本最後のリサイタル

古希を超えて「少女の声」という奇跡 (オペラ評論家 香原斗志)

歌が立派なだけではない。それを少女のようにみずみずしい声で聴けるとは、失礼ながら思わなかった。昨年、東京で歌ったオペラ《ランメルモールのルチア》とアリア・コンサートのことである。1946年生れのグルベローヴァはすでに古希を超えている。杜甫が「人生七十古来稀なり」と書いたのが「古希」の由来だそうだが、古希にして少女の声を保つソプラノなど、稀どころか古来絶無であったはずである。
かつて圧倒された声の艶も、光沢も、丸みも健在で、耳を圧され、胸を打たれた。ひところ、声に若干の陰りが聴かれ、高音が苦しくなっていたが、古希を超えてネガティブな要素が陰を潜め、最高音のEs(三点変ホ)もギリギリではあるけれど、少女の声のまま響かせていた。レンジが多少狭くなっただけで、声に自在に強弱をつけ、色彩や陰影をたくみにほどこして、登場人物の喜怒哀楽を縦横に表現していた。また、言葉に対する感覚はむしろ以前より研ぎ澄まされ、いまなお成長する姿には敬服するしかなかった。
そんな奇跡の名花を、また味わうことができる。東京ではオーケストラの伴奏、川崎ではピアノ伴奏と、それぞれに味わいの異なる「少女」が現れるはずだ。奇跡の目撃者になれる日は近い。

 

公演会場・チケット価格

10/28(日) 開演14:00 サントリーホール
S席¥21,000 A席¥17,000 B席¥13,000 C席¥9,000 

エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)/
ペーター・ヴァレントヴィッチ(指揮)/
東京フィルハーモニー交響楽団(出演)

お問い合わせ先:楽天チケット/コンサート・ドアーズ 03-6628-5416(発売日・平日10:00-18:00)
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予定曲目

・ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「春の声」
・ロッシーニ:歌劇《セヴィリアの理髪師》よりロジーナのアリア「今の歌声は」
・トマ:歌劇《ハムレット》よりオフィーリア狂乱の場 ほか